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「この機械、補助金を使える?」と聞かれたら|工作機械営業の答え方

執筆・編集:株式会社プリュム

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補助金のチラシで説明し、答えきれない質問は専門家との三者打ち合わせにつなぐ。事前に導入時期、手間がかかる作業、補助金の利用状況を確認する。
チラシの説明から、専門家との三者打ち合わせへ

皆さんは普段、修理や消耗品の相談を受けてお客様を訪問したり、新しい機械や補助金の情報を持って営業に回ったりされていると思います。そこで次の設備投資の話になり、機種や仕様を検討して、概算の見積を出す。そのあたりで、お客様からこんな質問をされませんか。

「この機械、補助金を使える?」

過去にご自身のお客様が採択された機械なら、経験をもとに自信を持って話せるかもしれません。一方、これまで補助金で扱ったことのない機械については、その場ですぐに答えられないこともあるでしょう。

そんなときに、プリュムがおすすめしている営業の進め方があります。今回は、お客様への返答から、補助金に詳しい専門家との三者打ち合わせにつなげる方法をご紹介します。

1.相談の着地点を、専門家との三者打ち合わせにする

まずは、お客様に候補となる補助金のチラシをお渡ししましょう。チラシに書かれている制度の概要など、ご自身で説明できることをお話しします。そのうえで、答えきれない質問が出たら、次のひと言です。

「補助金に詳しいコンサルタントがいます。今回の機械で使えるか確認したいので、私も同席して、一緒に打ち合わせしませんか。」

この場での着地点は、お客様・営業担当者・専門家の三者で打ち合わせをすることです。機械の仕様や納期は営業担当者から、補助金の条件や手続きは専門家から説明すると、お客様も具体的に検討を進められます。

「この機械で申請した経験がある」「こういう作業を省力化できる」といった営業担当者の知識は、その打ち合わせで役立ちます。チラシをきっかけに話を広げ、今回のお客様の設備投資に合う制度を一緒に確認していきましょう。

2.面談前に聞くことは、導入時期・困っている作業・補助金の利用状況

機種や概算見積が分かっている商談なら、すでに持っている情報を活用できます。次の3点を聞ける範囲で押さえると、専門家も制度の候補を絞りやすくなります。

面談につなぐための3つの質問

確認したいこと聞き方の例次の判断につながる点
導入したい時期「いつまでに使い始めたいですか。発注はこれからでしょうか」公募・発注可能時期と納期が合うか
現在、手間がかかる作業「今の機械では、どの作業に人の手や時間がかかっていますか」導入する機械・機能と、省力化の関係
ほかの補助金の利用状況「今申請しているものや、採択後まだ入金されていない補助金はありますか」申請制限や対象経費の重複を確認する

補助金の利用状況は、制度名と進み具合を聞きます。分からない部分は面談で確認すれば大丈夫です。初回から申請書類一式をそろえることを、相談の条件にする必要はありません。

導入時期の確認は、早めに行いましょう。例えば一般型の第8回公募要領では、補助対象経費は交付決定日以降に契約・発注するものに限られています。一般型では、採択後に交付申請を行い、交付決定を受けてから発注する流れです。[1][5]

関連記事:工作機械の補助金営業|先送り商談を動かす「締切」と導入時期の考え方

3.工作機械の商談で、省力化補助金を候補にする理由

当社が工作機械の商談で省力化投資補助金をまず候補にする一番の理由は、一般型の採択率の高さです。「補助金が使えるなら、この機械を買いたい」というお客様の場合、採択されるかどうかが設備の受注を左右します。だからこそ、設備やお客様の条件に合う制度の中から、採択の見込みも考えて提案することが大切です。

2026年10月30日時点で結果が公表されている一般型の第1~6回は、すべて採択率が6割を超えています。6回分の申請数11,720者に対する採択数7,684者の割合は、約65.6%です。[6]

省力化投資補助金・一般型の採択結果

公募回申請数採択数採択率
第1回1,8091,24068.5%
第2回1,16070760.9%
第3回2,7751,85466.8%
第4回2,1001,45669.3%
第5回2,0351,25161.5%
第6回1,8411,17663.9%

採択率は、公式発表の採択数÷申請数で算出し、小数第1位に丸めています。

比較として、ものづくり補助金の直近第19~23次の採択率は約31.8~37.5%でした。同じ全国募集の設備投資向け補助金でも、こうした採択実績の違いがあります。[7]

募集機会と補助額の面でも、工作機械の提案に合わせやすい制度です。一般型は年3~4回の公募が予定されており、お客様の投資時期に合わせて申請を検討できます。通常の補助上限は従業員数に応じて750万~8,000万円、大幅賃上げ特例では最大1億円です。補助率は中小企業が原則1/2、小規模企業者・小規模事業者、再生事業者は2/3。中小企業でも最低賃金引き上げ特例に該当すれば2/3になります。[1][3][8]

工作機械の段取り、位置出し、測定、搬送、清掃などの手作業を減らす提案と、こうした制度の条件を組み合わせて検討していきます。

一般型は、個別の現場に応じた設備導入やシステム構築を支援します。カタログ注文型は、登録された省力化製品を選び、販売事業者と共同で申請を進める仕組みです。[2][3][4]

一般型とカタログ注文型で、最初に見るところ

比較する点一般型カタログ注文型
設備の確認現場に合う構成・機能と、減らせる作業を整理希望する製品・型式と登録内容を確認
営業が用意する情報見積書、仕様、付属品、導入前の作業登録製品の情報、見積、導入目的
進め方顧客の事業計画と制度要件を照合して申請を検討登録販売事業者と顧客が共同で申請を検討

この検討順は、当社の営業支援での目安です。希望納期、企業規模、賃上げへの対応、過去の補助金利用歴などによって、合う制度は変わります。補助率や上限だけで決めず、お客様が実行できる条件を比較します。

他制度との比較が必要な場合は、省エネ補助金などを含めた検討へ進みます。制度の選び方は、次の記事で詳しく紹介しています。

関連記事:工作機械の省エネ補助金|提案すべき案件の見極めと営業の進め方

4.市販の工作機械でも「オーダーメイド設備」として検討できる?

一般型の「オーダーメイド設備」は、普段の見積でいう「本体・標準装備+特別付属品」を思い浮かべると分かりやすくなります。お客様が加工するものや現場の使い方に合わせて、特別付属品を選び、本体と組み合わせる。その構成によって、どの工程や手作業を省力化できるかを説明します。

つまり、普段販売されている工作機械も、1台でオーダーメイド設備として検討できます。ポイントは、お客様の現場に合わせた機能・構成と、省力化できる作業の関係です。公式FAQでも、汎用設備の周辺機器や搭載機能などが導入環境に応じて変わる場合は、オーダーメイド設備に含まれるとされています。[2]

本体の性能に加えて、特別付属品がどの手作業を減らすのか。プリュムが申請支援で扱った設備構成を例に見てみましょう。

例1:汎用タイプのNCフライス盤で、準備と段取り替えを減らす

山崎技研の立形NCフライス盤「YZ-500WR(汎用タイプ)」に、加工ガイダンス機能とロングストローク仕様を組み合わせる例です。既存機で行っている加工経路の手計算・けがきや、長尺材を加工する途中の位置替えを省力化します。

機能・付属品で、どの作業を減らせるか

機能・付属品導入前の作業作業がどう変わるか
X・Y軸のNC制御/加工ガイダンス機能(輪郭)加工経路の手計算、けがき、位置出し形状・座標の入力で加工準備を支援する
ロングストローク X1,250mm加工途中のクランプ解除、位置替え、再固定、再基準出し同じ固定状態で加工できる範囲を広げ、段取り替えを減らす
ハンドルタップ機能ねじ立て時の手動操作操作を支援する。

加工ガイダンスで準備の手間を減らし、加工範囲を広げて途中の段取り替えを減らす。汎用タイプのフライス盤でも、こうした機能の組合せを、お客様の作業に沿って説明できます。

お客様への説明例:「今は長い材料を途中で付け直していますよね。今回は加工範囲を広げて、その段取り替えを減らす仕様です。この使い方と作業の変化を整理して、一般型の条件に合うか確認しましょう。」

例2:立形マシニングセンタで、切りくず回収と清掃の負担を減らす

DMG森精機の立形マシニングセンタ「CMX1100V」に、チップコンベアとクーラントガンを組み合わせる例です。加工中に発生する切りくずの排出と、加工後の機内清掃を効率化します。

特別付属品を、顧客の作業に置き換えて説明する

特別付属品作業がどう変わるか
チップコンベア(スクレーパ式・ドラムフィルタ付)切りくずの排出を機械化し、作業者による回収の負担を軽減する
クーラントガン(加工側)切りくず除去や機内清掃の作業性を改善する

切りくずの排出はチップコンベアに任せ、機内に残った切りくずはクーラントガンで清掃する。加工そのものに加え、作業者が行う回収・清掃まで含めて省力化を説明できます。

その他の設備・特別付属品の組合せ例

工作機械だけでなく、測定機やロボットを組み合わせる提案もあります。特別付属品・周辺機器と、現場で確認したい作業を一覧にしました。

設備・型式特別付属品・周辺機器の例省力化を考える作業
立形マシニングセンタ
GC53RⅡ(ニデック)
タッチセンサ OMP60/砥石計測・補正センサ/外部ろ過装置位置出し・砥石計測、切削液の管理
精密平面研削盤
GS-64CV(黒田精工)
テーブル上自動ドレス/主軸メタル仕様/クリープフィード用ポンプ・電装砥石のドレス、研削工程
CNC旋盤
LB3000EXⅢ(オークマ)
本機連動のチップコンベヤ/シャワー式クーラント切りくず排出・機内清掃
NC旋盤
LB3000EXⅢ MW800(オークマ)
バーフィーダ ASQ-E80/パーツキャッチャ/ワーク払出コンベヤ材料供給・完成品の取り出し
立形マシニングセンタ
MB-46VEⅡ(オークマ)
自動工具長補正・折損検出タッチセンサ/フロア式チップコンベヤ工具測定・確認、切りくず回収
門形マシニングセンタ
MCV-AⅡ 16×20(オークマ)
簡易5面アタッチメント仕様/自動90度アタッチメント加工面の切替え・段取り替え
5面加工門形マシニングセンタ
MCR-A5CⅡ 30×80(オークマ)
90度アンギュラヘッド/ATC工具収納120本/機内・集合コンベヤ多面加工の段取り、工具交換、切りくず排出
5軸加工機
MU-4000V-L(P)(オークマ)
自動パレット交換装置6APC/ATC工具収納166本/自動工具長補正・折損検出ワーク段取り・工具交換・工具測定
5軸加工機
MU-8000V-L(P)(オークマ)
11面APC・段取ステーション/自動計測・原点補正/工具長補正・折損検出ワーク交換・原点出し・工具測定
CNC三次元測定機
CRYSTA-Apex V PLUS7106(ミツトヨ)
プローブヘッド PH10MQP R2/TP200/スタイラスチェンジャー SCR200測定方向の切替え・スタイラス交換
ロボットシステム
M-20iD/20×2台(FANUC)
現場に合わせたシステム設計・配線・組立・調整ワーク搬送
ロボットデバリングマシン
RDM-S03(スギノマシン)
モータ付Barriquan/支給治具への制御追加/着座面エアブローバリ取り・ワーク保持・治具清掃
三次元測定機
XM-5000/H5000(キーエンス)
カメラユニット用三脚・延長ポール/データ転送ソフト測定準備・測定データの受け渡し

ここまで挙げたのは、機械や特別付属品が持つ機能です。採択を目指す事業計画にするには、そこから一歩進んで、「お客様のどの工程で、誰が、何に時間をかけているか」を具体的に捉える必要があります。

例えば、段取り替えにかかる作業を減らせたら、その時間をどの仕事に回すのか。生産量や付加価値がどう増え、利益や賃上げにどうつながるのか。設備の機能と現場の工程、経営全体への効果をつなげて示します。一般型の審査でも、省力化指数や投資回収期間、付加価値額に加え、省力化で生まれた時間・労働力を高付加価値業務に振り向けるなど、会社全体に成果をもたらす計画かが評価されます。[1]

営業担当者には、まず「この特別付属品なら、あの手作業を減らせそうだ」という視点を持っていただきたいと思います。お客様ごとの工程の整理や、効果を数字にして事業計画へ落とし込むところは、プリュムにご相談ください。お客様・営業担当者・当社の三者で、現場に合う設備構成と計画を一緒に考えていきましょう。

5.三者面談では、設備の提案と制度の条件をすり合わせる

営業担当者が次に行うのは、顧客・販売会社・コンサルタントが同じ情報を見て話せる場を設けることです。必要に応じてメーカーにも仕様を確認し、設備の提案と補助金の条件をすり合わせます。

「機械の仕様と概算見積は私から共有します。社長からは、今困っている作業と導入したい時期をお話しいただけますか。そのうえで、補助金の専門家と使える制度や進め方を確認しましょう。」

面談には、現在の見積書・カタログ、希望納期、聞き取れた作業の困りごとを持ち寄ります。顧客は現場の実態と投資の意向、営業は設備仕様と納期、コンサルタントは制度要件と手続きの見通しを整理します。

機械の対象可否に加え、発注できる時期、申請準備、賃上げ等への対応、設備代金の支払いと補助金入金までの資金繰りも確認します。顧客が自社の計画として内容を理解し、判断できるところまで進めることが大切です。

「この機械に使えるか分からない」という段階でも、相談は始められます。日頃の接点から設備投資の意向をつかみ、分かる情報を持ち寄って確認する。その積み重ねが、具体的な設備提案につながります。

機械商社・メーカーの補助金提案をご相談ください

プリュムでは、工作機械の販売に関わる営業担当者から、補助金の候補選定や設備構成の確認、顧客との三者面談についてご相談を受け付けています。機種・仕様、概算見積、導入希望時期など、現時点で分かる内容をお知らせください。セカンドオピニオンとしてのご相談も可能です。

機械商社・メーカー向けの相談窓口

プリュムの支援事例を見る

制度情報の確認日:2026年10月30日。一般型の詳細説明は第8回公募要領および公式FAQ等に基づきます。個別案件は申請する公募回の最新資料で確認してください。採択率は制度全体の過去実績で、個別案件の採択確率を表すものではありません。掲載例は申請支援で扱った設備構成例の紹介です。採択結果や導入後の実測成果を示すものではありません。

出典・参考資料

[1] 中小機構|省力化投資補助金・一般型 第8回公募要領(対象外事業・補助対象経費)

[2] 中小機構|一般型のよくあるご質問(オーダーメイド設備の定義)

[3] 中小機構|省力化投資補助金・一般型

[4] 中小機構|カタログ注文型の申請・手続きの流れ

[5] 中小機構|省力化投資補助金のご案内

[6] 中小機構|省力化投資補助金・一般型 採択結果(第1~6回)

[7] ものづくり補助金事務局|採択結果(第19~23次)

[8] 中小機構|省力化投資補助金・一般型 スケジュール

この記事を書いた人

著書『補助金から学ぶ経営者マインド』と写る、株式会社プリュム代表取締役の藤井孝介

藤井 孝介

株式会社プリュム
代表取締役

著書に『補助金から学ぶ経営者マインド』(幻冬舎、2023年)。

農林水産省で5年間、補助金の制度設計・審査・採択後の申請者フォロー、公共事業の公募・入札等に従事。その後、会計事務所の役員として約2年間、補助金事業や経営に携わる。2023年に退職し、株式会社プリュムを創業。エネルギー診断プロフェッショナルを取得。

著書の紹介 / 支援事例